昆虫食コラム

昆虫食活動1周年記念・サンワコーヒーワークスの西川隆士さんと対談(3)お蔵入り商品・かずきのコオロギカレー

連載でお届けしている1周年記念企画です。
話はどんどん進み、裏話が飛び出します。

前回までのあらすじ

第1回はこちら

第2回はこちら

~コロナ禍におけるカフェ事情・主に大阪・天満界隈を例に~

【緊急事態宣言中における天満界隈に昼間】

飲み屋街が広がる天満、緊急事態宣言中でもにぎわっている。

コロナ禍ですが、相変わらず賑わっていますよね。
インスタの投稿やラジオの取り組みなんかも見ています。
地域への愛というか、リピーターさん、そういうところをすごく大切にされているなって、いつも思っています。
そうですね。おかげさまで、緊急事態宣言中でも、のんびりはしていますけれども、大変ありがたい話で、粛々と常連さんは来てくだっています。
おかげさまで、今は何とかお店が潰れないラインには乗っているかなぁと思っています。
コロナ禍においては、お店とお客さんとのつながりが商品だけの場合は別のカタチにすぐ置き換えられる結果になっていますね。
その商品の魅力が「立地」や「価格」などに頼っていた場合などは顕著ですね。
天満のお店でも暇になってしまったお店と、何とかギリギリ持ち堪えているお店と、そんなに変わらないお店さんといろんなお店さんが出てきました。
商品だけで繋がっていたお店はいろんな方法で代替されてしまったが、人と商品で繋がっていたお店は何とか持ち堪えている印象があります。
僕の勝手なイメージでは、天満っていう町は「常連」が多いお店が多いのかなって思っていました。
ここに来るまでも、「え、そんなにお客さんいていいの?」って逆に心配になるお店が結構ありました。笑
けどね、接客だけに力入れて、商品を疎かにしては絶対いけない。
でも、商品力だけに力を入れていても生き残っていけないこともわかってきましたね。
僕らのお店って商圏を限り狭くしていて、週3回4回とか毎日のように常連さんが足を運んで下さるお店を目指しています。
もちろん遠方から来てくださる方も大変ありがたいてですが、できれば近くの方でちゃんと回るようにしたいと思っています。

~お蔵入り商品・「かずきのコオロギカレー」~

商品をおろそかにと言えば、東京駅の催事に合わせて、勝負かけよう!って、レトルトの「コオロギカレー」作ろうと思ったときに、試食会したんですよね。
付加価値をつけて、それなりの値段のプレミアムを・・・って思ったんですけど。
僕のサポートしてくれるメンバーに、ミシュランで星ついてるレストランで働いていたシェフがいるんですが、思ったほどおいしくできなかった。笑
もちろん、材料のことや、作り方なんかはあると思うんですが、そんなポテンシャル高い人がやっても、成城石井や北野エースで買ってきたビーフカレーのほうが安いし、圧倒的においしいんですよね。笑
シェフも交えて、みんなで議論したんですけど、「カレーなんてこんなもんだよ、ファミレスのカレーってこんなもんでしょ?」っていう意見だったり、「コオロギカレーに突き抜けたおいしさなんて求められていない、単なるバラエティグッズだ」っていう意見もある一方、
「おまえのカレーはファミレスでいいのか?」「せっかくクラウドファンディングも成功させてここまで来たのに、こんなくだらないものを売って今までの苦労に泥を塗る気か?」っていう意見とか。
どこでOEMを受けてもらおうとか、真剣に考えて目処も立てていたんですけど、結果的に、商品をおろそかにすることはできないなって思って、お蔵入りにしました。笑

【「コオロギカレー」の試作会の様子】


各種レトルトカレーを用意して、県庁や指定管理者の施設からも時間外に5名応援いただき、激論を行いました。笑

こちらは、奈良でテイクアウト専用商品として食べられるコオロギカレー。この味をレトルトでどう再現するかを検討した。

それだと、私も多分、作らないでしょうね。笑
今のお客さんは過去の自分の行動の成果であり、鏡だと思っています。
何気なく催事で接客した方がその後、ずっと通ってくださっていたりします。
そうすると、いま初めて出会った人をきちんと満足させられているのだろうかと常に自問自答しています。
なので、今この時点でおいしくないものをリリースすると、今まさに支えていただいている過去からのお客さんへの背信行為になってしまう。
西川さんの方針は、今の時代にぴったりだと思います。
最初にお話しいただいた「変化」をきちんと時流に合わせているからだと思います。
言い方悪いですが、不特定多数をターゲットにして、美味しいのか美味しくないのか、高いのか安いのかよくわかんないお店って軒並み沈んでいる印象を受けます。
僕の家の近くに「某ステーキ屋さん」があったんですけど、一瞬でなくなっちゃいました。笑
まず、当たり前ですけど、大前提としてお店が潰れないようにしないといけないです。笑
特にコロナを経験してそれを強く感じました。長期化していくと、2021年は明暗がくっきりわかれそうですね。
ステーキ屋さんの話があったけど、タピオカ屋さんとか結構ブームに乗ってお店をオープンしたところがあると思います。
今、どんどんなくなってるようなイメージがあるんですね。勝手な思い込みですけど。
僕も絶頂時のタピオカ屋さんの長蛇の列を見ているとうらやましいと思う時期もありましたよ(笑)
その度に「まずは地域のお客さんとの関係をちゃんと作ってつぶれないお店にするんだ」って自分自身に言い聞かせていました。

いよいよ次回は最終回。それぞれの真の目標とは?核心に迫っていきます。