昆虫食コラム

昆虫食活動1周年記念・サンワコーヒーワークス・西川隆士さんと対談(1)『昆虫食業界での立ち位置』

昆虫食活動を初めて1年。
クラウドファンディングから半年余りが経過しました。自身が活動していく中での軸となる「コオロギコーヒー」を世に送り出すことができたのもひとえにサンワコーヒーワークスさんのおかげ。それぞれのその後の状況を振り返るとともに、激動の2020年を振り返って、今後の展望について、「経営」という観点を交えてお話させていただくことになりました。

~変化することに価値がある~

来るたびに、少しずつ何かが変わっているところが面白いです。
アップルパイとか、クオリティが半端ないですよね。
これで+490円だったら、絶対にお得です!!
フィナンシェとフロランタンも自信作です。
持ち帰りできるので、店内消費しか出来なかったケーキなどの生菓子と違って、商品の回転率という点も狙っています。

「フロランタン」ってマニアックなジャンルの焼き菓子ですけど、これ、いままで食べたフロランタンの中で絶対に一番美味しいです!!
フードはまだ種類は多くはないですが、一つ一つにかなり力を入れています。
お店や事業が少しずつ変わっていくっていうのが非常に大切だと思っています。
そして、この変化し続けるということが有名な企業に勝つための唯一の方法なんじゃないかなぁと考えています。
お店の変化に投資するための予算を少しずつでもよいので使えるようにしておくことが大切です。そして失敗しても良いからどんどん投資する。失敗も変化の一つ。変化することに価値があると思った方が良い。
クラウドファンディングから半年ほど経ちましたけど、それからどうですか?
日経トレンディにも「コオロギフード」が掲載されていましたし、SDGsというワードも相まってまさに追い風じゃないですか!!?
実は、西川さんが陰ながらクラウドファンディングを支えてくださっているというのを聞いていました。
大阪でのイベントにもサンワコーヒーさんのお客さん来ていただきましたし。
とはいえ、まだまだ、「昆虫食」だったり、「コオロギフード」の範囲の中での取り扱いに留まっているのが現状です。
所詮は流行りの「イロモノ枠」というか・・・。
商品も「昆虫食枠」を意識しないデザインや打ち出しをしていますが、開発の際に教えていただいた「持続可能なコーヒー生産への想い」というのを進めるためには、まだまだですね。
もちろん、コオロギコーヒーでSDGsを本気で達成できるなんて全く思っていないですが、僕の名刺代わりでもあり、普及・啓発のきっかけとする昆虫食入門の象徴的な商品としたいなと思っています。

~自分の「立ち位置」を認識する~

いま、「商品の立ち位置」の話が出ましたけど、私は「お店の価値を細分化」しています。お店の価値をしっかり見極めて、どういう方向性に舵を取っていくのかの参考にする。
コーヒーショップの価値は、まず、コーヒーの味わいとかコーヒーのおいしさっていう価値が大前提あります。
コーヒー1杯の価格。安いっていうのも素晴らしい価値です。
植物や内装で空間の価値を高めることができる。席数、Wi-Fi環境、コンセントの数などの利用価値も。フード・スイーツの充実、ギフトなど、物販が揃っているかもそのお店の価値になったりします。
最後に「スタッフの接客」ですね。
自分の価値を過大評価も過小評価せずに冷静に見極めるっていうことですか?
そうです。
このお店の価値をどれくらい正確に細分化できているのかで、きちんと自分のお店のポジショニングや差別化の戦略を導き出すことできる。
僕は近隣のカフェやコーヒーショップの形態・価格・クオリティ・空間づくりをある程度は把握しているつもりです。その結果、自分たちのお店の立ち位置を考えています。
ドトールさん、コメダ珈琲店さんに勝てない部分もありますが、絶対に負けてはいけない部分もある。
そして、時代に合わせて価値の重要度は変化することも意識しなければいけない。
コロナ禍においては、wi-fi環境やコンセント充実、価格、接客の価値が高まっています。
そのために、ルーターの増強、コンセント席の拡充、価格の見直し、おかわり割引の開始など、コロナ禍に価値が上がる部分を一気に整えました。
自分の立ち位置っていうことでいうと、僕は「昆虫食」っていう狭い世界の中で「誰かと争わない」というのを心の中で掲げています。
僕の活動って、決して1人でやっているわけではなく、出身や個性の違う、社会でもそれなりの立ち位置にいるメンバーが親身になってコメントやアドバイスをくれることで成り立っているんですけど、みんな「積極的な勝負はやめよう」と言います。笑
昆虫食では、大まかには、「研究・開発」「商品製造」「ネット販売」「実店舗での飲食・物販」「普及・啓発」の5ジャンルがあると勝手に分析しています。
僕はおそらく、「普及・啓発」っていうところがメインなのかなって思っています。
現役の大学生っていうところも強みだよね。普及・啓発っていうジャンルと相性良さそう。
けど、昆虫食の世界には、大学生が3人いるんですよ。
3人もいるんかい!って話ですけど。笑
東京農大、高崎経済大、そして僕の近畿大学ですが、3人とも、方向性が違います。
みんな商品は持っていますけど、根本的に取り組んでいる方向性が異なるので、争っているとは思っていないですし、仲良くやっています。
なるほど。その3人の価値を細分化すると、交わるところがなくなるってことになるんですね。
はい。
東京農大は、フードロスを昆虫に食べさせて育てる循環サイクルを作っている。
高崎経済大では、コオロギのパウダーを仕入れて、商品の企画や開発をする。
僕は昆虫食の露出の機会をどんどん増やしてしっかりと普及啓発をしていく。そんな感じです。
空いているからそこへ入り込むっていうだけじゃなくて、自分の「やりたいこと」「得意なこと」ひいては、「目指す方向」を向いているかっていうことと合致していないとダメだとは思いますが、それぞれの分野が競合しないので、非常にいい関係です。
そもそも、僕は、この狭い業界、まずはパイを広げないといけないと思っています。
少しでも多くの人が触れる機会だったり、考える機会だったり、そういうものを創出するために、いろんな事業者の皆さんと協力していけたらなって思っています。
ただ、昆虫を食べるっていう発想がそもそもぶっ飛んでいるので、(いい意味でも悪い意味でも)変わった人が多い業界であることは間違いないですけどね。笑

第2回へ続きます。