昆虫はさまざまな漢方にも使われてきたようですが、ゲンセイは、ハンミョウの仲間です。
玉虫に似た色で、ヨーロッパから中央アジアにかけて生息しています。
ハンミョウというと、昆虫食の世界では『毒があるから食べてはいけないもの』の代名詞です。
ハンミョウには、カンタリジンという成分が含まれています。
カンタリジンが尿中に排泄されることで尿道の血管を拡張させて充血するそうです。
この症状が性的興奮に似るため、西洋では催淫剤として古くから用いられてきたようです。
昔から、性に効くものとしては、色々なものが試されてきたみたいですが、科学の世界では効果は飲んだ人の心の中にしかないっていうのが限界のようです。笑
また、皮膚に塗ると水泡ができることから、炎症や神経痛の治療、イボ取りなどに用いられていて、また、内服によって膀胱炎の治療などに用いられています。触ると腫れるのでむやみに触れない方が良いと思います。
摂取量を誤ると、命に直結してしまいます。
その歴史は古く、フランス人のマルキ・ド・サドが関わっていた事件(1772年)が有名です。
サディズムとか、サディストという言葉の語源は、この人物とされています。
サドは幻想的な作風のポルノ作家でした。
教会や国により厳しく倫理が管理されていた時代においては、その自由で因習にとらわれない性的嗜好は不道徳で神への冒涜であると非難されました。
あるとき、フランスの南部の街で、乱交パーティーをしていたところ、売春婦たちから告発されます。
その際に用いられた錠剤にこのミドリゲンセイの成分が入っていたとされています。
その後、彼は不遇の人生を歩み、最後は精神病棟でその幕を閉じました。
カイコや蜜蜂など、人間の歴史には切っても切れない関係の昆虫がありますが、ミドリゲンセイもそうした歴史を持つ昆虫のひとつと言えます。