昆虫食コラム

「昆虫食」の一歩先へ・「SDGs」はまやかし??(齋藤幸平著・「人新生の資本論」に学ぶ)

今回は、少し真面目に書いてみます(いつも真面目なつもりなんですがw)

GW頃に、毎日新聞から大きなお話をいただき、記事にしていただいたことがありました。

このときに、来ていただいたのが、大阪市立大学の斎藤幸平先生です。
斎藤先生は、「経済思想」というものを研究されていて、マルクス経済学の専門家でいらっしゃいます。
マルクス研究界最高峰の賞ドイッチャー記念賞を2018年に当時31歳で歴代最年少、日本人初受賞されたというものすごい経歴の持ち主です。
気さくな方で、取材のご縁で、僕のコオロギコーヒーもご支援いただきました。

毎日新聞の連載企画は、斎藤先生が資本主義の現代を様々な角度で切り込んでいくというもので、「UberEATS」「あつ森」などのトレンドから現代の資本主義社会を紐解いていくというものです。
そんな中で扱っていただいたのが、「昆虫食」というわけです。

齋藤幸平の分岐点ニッポン

先生の新書「人新世の「資本論」」は、全国の新書コーナーで鬼滅の刃の関連本や古市憲寿さん、菅総理の著書と並んで新書のベスト5に入るようなすごい本なのです。笑

すでに6万部売れているそうです。

しかし、そんな偉大な先生が、なぜ、昆虫食を取材されたかというと・・・
かねてより「ケインズ経済学と気候変動」なども取り扱って研究されていた先生は、環境経済という点で「昆虫食」に興味を持たれていたようです。
著書にも、マルクスの経済学の観点から資本主義と地球環境について述べられています。

さて、先生の大学の卒業生でもあり、一緒にイベントなどを考えてくれている県庁の方から、

これを読むと、「昆虫食」について多面的に考察するための知見が得られるから読んでみてはどうかと勧められました。

社会的な問題解決の視点からアプローチしているというからには、「昆虫食」についての経験や知識のみならず、現代社会における課題を経済・環境・人々の生活様式など様々な観点から多面的に考察する必要があるのではないか?
馬鹿の一つ覚えみたいに、「SDGs」とか「国連の報告」とか言ってないで、もっと深い視点を獲得しなさい。

とハッキリと言われました。笑
僕へ課せられた課題です・・・

確かに、「昆虫食」業界は「SDGs」や「国連の報告」が後押しになって活況です。

しかし、「昆虫は世界を救う」というのは本当なんでしょうか??

ということで、少し著書を紹介していきます。僕の解釈では主にこんなことが書かれていました。

(1)「SDGs」という言葉は、先進国が罪悪感を和らげるための「大衆麻薬」に過ぎない。

(2)人間社会は地球の環境に負荷をかけながら発展してきた。先進国が途上国を搾取し、フロンティアを奪う形で負担を転嫁して成り立っている帝国主義的なものである。

(3)しかしながら、途上国も発展していくことで、負担を転嫁する先がなくなり、いよいよ地球環境に深刻な影響が出始めてきた(異常気象等)

(4)経済活動の発展と環境枠組みの維持は両立しないことが徐々に明らかになってきた。

このように、現代の「資本主義」の制度上の問題点を洗い出し、問題提起がなされています。

要は、もっと大胆に真剣に取り組まないと駄目だ、このままでは取り返しがつかなくなる。
そういう警鐘をマルクス経済思想から読み解くことができるのでは?ということで、先生の主張に繋がっていきます。

あまり書くとネタバレになるのでこの辺で・・・

そういえば、コオロギコーヒーを開発するときに、サンワコーヒーの西川さんも「産地の疲弊」について語られていました。
コーヒーは赤道直下の国で生産されています。アフリカ・東南アジア・南アメリカ・・・豊かな自然がある反面、いずれも経済的には発展途上です。
日本でもカフェが増え、気軽にコーヒーを飲める場所が多くなってきました。スタバやコンビニコーヒーなんかその最たる例です。
コーヒーの生産には農地が必要です。労働力も必要です。安い賃金で買いたたかれている現状があります。
これこそ、まさに、斎藤先生が著書で書いている「帝国主義的な経済」です。

西川さんが協力いただいた理由のひとつに、「持続可能なコーヒーの生産」という観点から、代替材料のブレンドは将来性を感じるとおっしゃっていただいたことがあげられます。

これは、コーヒーだけではありません。

チョコレートの原料であるカカオ豆にも同じことが言えると思います。

資本主義経済を日常生活で置き換えてみると、こんな見方もできます。
今日の帰り、スーパーによると、「にんじんが3本98円」特売で売られていましたが、改めて考えるとこれは奇跡です。
なぜかというと、僕はどれだけ頑張っても3本のにんじんを98円では生産できません。1000円かけても無理です。
そんなの事業として長年のノウハウの中で大量に生産しているから当たり前じゃないか、と言われればそれまでですが、
農業の世界では、「豊作びんぼう」という言葉があるように、作っても作っても儲からない。
資本主義はいろんなものを搾取して成り立っているという矛盾した側面をこうしたところに垣間見ることができます。

コーヒーの世界では、適正な価格での買い取り、「フェアトレード」という考え方がありますが、まさにこうしたことへの問題提起です。

ということで、後半はまた後日に、完成させた上で、BugsFarmさんの昆虫食コラムに寄稿しようと思います!!