ワークショップのあとは、丸沢さんのスズメバチの生態講座でした。
その後、内山さん提供のスズメバチを皆さんでいただきました。
蜂パウダーを練りこんだ味噌で焼き上げた五平餅
蜂の子ごはん
さまざまなスズメバチの幼虫、さなぎ、成虫のソテー
さて、討論のまとめです。
(1)公園での昆虫採取は、一般的に「法令」で規制されているとまでは言えない。
(2)「食用」がダメ、という議論より、「商業目的での採取」は規制されているという表現がしっくりくる。
ぜひ、来年のセミ会は僕たちと一緒に!!!
さて、内山さんと丸沢さんをお見送りした後、「コオロギチップス」片手に、「コオロギコーヒー」を飲みながら、会場の平城宮跡歴史公園の奈良県管理エリアを県から管理を受託している指定管理者「平城京再生プロジェクト」の若き統括マネージャー・粟坂史明さんを交えて振り返りの反省会を行いました。
山口さん
粟坂さん
若干20代にして、世界遺産・平城宮跡歴史公園の県営区域の責任者を務める。国営公園エリアや県からの信頼も厚い。
【公園の本質的な価値とは・・・??】
公園は、人々のレクリエーションの空間となるほか 、良好な都市景観の形成 、都市環境の改善、都市の防災性の向上 、生物多様性の確保、豊かな地域づくりに資する交流の空間など多様な機能を有する都市の根幹的な施設である。
(都市公園法運用指針より)
どこにも行くところがないから、平城宮跡もびっくりするくらい人であふれてました。
改めて地域の皆さんの憩いの場であるということを認識しましたね。
テントを広げたり、「鬼滅の刃」のコスプレしたり、犬の散歩したり、スケボーとか、あとは、楽器の演奏とか(上手かどうかはさておき・・・苦笑)、
本当にいろんな使い方するなあーと思って見てました。
奈良は緑豊かだけど、都心だと公園は本当に貴重だね、法律で公園は守られているから簡単に減らしたりすることはできないことになっている。
あと、この数年くらいで本当にいろんな価値観が生まれてきたなあって思うね。
公園で言えば、ドローン飛ばしたいとか、ポケモンとか位置情報アプリでゲームしたいとか。
だからまあ、「昆虫食」もその1つのメニューとして検討の余地はあるんじゃないって思ったりはするね。笑
【多様な価値を尊重する社会】
ダイバーシティって言葉が流行ってますけど、多文化の共生や価値観の尊重について配慮することは、行政の人間として当然であると言えるよね。
けど、相手を非難するのはよくないと思います。
理解はできなくても、そういう考え方や価値観もあるんだって「認める」ことが大事なんじゃないかと思いますね。
僕も昆虫を食べたいとは思わないですけど(笑)、かといって食べる人のことをとやかく言うつもりはないですね。
他人の権利を侵害したり、迷惑をかけてはいけないのは言うまでもありません。
行政がすべきことってそういう利用者間の調整じゃないですかね?
認める認めないの議論をする前に、すべての利用者が安全に快適に利用できるための環境整備は必要だよね。
身近なところでは、トイレの洋式化とか、バリアフリーもそうだけど。
あとは、公園においては、利用者の良識というか、譲り合いの精神というか、そういうものがないと成り立たないよね。
【禁止するならそれなりに理由を】
例えば、公園の生態系維持を理由として禁止するなら、その根拠を合理的に説明すべきだと思いますね。
長野県では、セミの幼虫はリンゴの樹液を吸う害虫として扱われているって話があったけど、一般的に、セミは希少生物ではないため、生態系を理由にした合理的な説明は不可能だし、そもそも、僕は事務職員なので、「生態系」について専門的なコメントをするノウハウは持ち合わせていないし、一般的に公園管理者はそういうノウハウはないと思うけどね。
奈良公園や平城宮跡の場合は、「世界遺産」「特別史跡・名勝」だから一般の街区にある公園のように「昆虫採取」を議論することになじまない、というのが答えかと思いますね。
そもそもの公園の設置趣旨にそぐわないですよね。
【昆虫は鳥獣?魚類?】
採ってはいけないものとして、環境省のレッドデータブックなどをあげて禁止する運用であれば、合理性は理解できるけど。
「昆虫は鳥獣に含まれるからからだめ」何じゃなくて、他の管理上の理由があるんでしょ?
禁止するなら、そこが本質的な問題になってるんじゃないのと思いますけど。
魚類や鳥獣なわけないじゃん。拡大解釈にもほどがあるよ。笑
歩いていて蟻を踏んでも罰せられるわけ??ってなるじゃん。笑
【食用に限定して禁止?】
その用途をどうやって判別するのか基準を明確にしないといけないよね。
きっと、子供の昆虫採取は良いって言いたいんだろうけど。
食用だろうと、飼育用だろうと、やってることは一緒でしょ?
駄目なものは駄目なんだったら正面から否定すればいいじゃないですか。
子供の昆虫採集とつじつまが合わないから、ああいう看板になるんでしょうね。
禁止するのであれば、管理上、どのような問題が生じるのかを当該公園の事情に即して論理的に説明すべきですね。
そもそも、客観的に見て、「公園で虫を食べないでください」って看板、違和感しかないでしょう。笑
けど、なるべく看板は少なくしたいですよね。利用者の良識が問われていますよね。
刃物を使ってもOK、何してもOKという画期的な場所でした。子供が生き生きしていたね。
(1)個人的に捕獲し、持ち帰り、自己の責任において行う飼育・調理は公園管理者の関知するところではない
(一般的な「昆虫採取」の枠内)ため、そもそも、許可申請の対象外。
(2)社会通念上、公園管理者には、「野生生物」であるセミを食用として安全に捕獲でき、食することが出来るような状態に管理することは求められていないと解することが妥当。
国家賠償法 (昭和22年10月27日法律第125号)
第二条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
つまり、「食用」の是非については、公園管理者の判断になじまない(キノコ、野草、果実なども同様)
(禁止する理由の例)
・夜間における「幼虫の捕獲」や、園内の植栽に深く立ち入ることについては、危険な箇所(蜂の巣がある可能性のある箇所等)へ立ち入る行為として、取り締まりを行う合理的な理由はある。
・対象となる昆虫自身が希少なものでなくとも、公園全体が貴重な生態系を形成しているなど、大量採取による副作用が予期できないなどの事情がある場合も一定の合理性はある。
(目的による選別)
・「催し」として、参加費(仮に実費相当としても)を徴収して捕獲し、食するようなイベントに関しては、各団体が規定する「行為許可」の許可申請の対象となる可能性がある。
・この場合、「NPO法人」や「大学等の研究機関」などが、「啓発」「研究」などの目的で行う場合においては、許可申請の対象となる「商業目的」ではないとみなすことについて、運用で対応する余地がある(もしくは、公園管理者と共同実施とすることも可)
・なお、大量に捕獲・販売などの用途に利用する場合は、「行為許可」の対象となる(申請を免除する余地は一切ない。許可する場合も様々な許可条件を附すべき)が、この場合、許可を行うかどうかは、公園管理者の広い裁量に委ねられる。(この場合は、「セミはよいのにタケノコはダメなのか?」という問題も生じるため、一律不許可とすることも差し支えない。)
なお、参考までに、看板をどうしても設置したいのであれば、「公園内の動植物を(食用として)捕獲する行為は、都市公園条例上の手続が必要になることがあるので、公園管理者へお問い合わせください」が適切な表現と考えられる。
お二人とも、考え方はすごく柔軟なんですが、しっかり法令を理解した上で利用者の目線に立って運用されてきたんだなと感心しました!!