昆虫食コラム

昆虫食活動1周年記念・サンワコーヒーワークスの西川隆士さんと対談(4)これから成し遂げたいこと

これまで「カフェ経営」を切り口にそれぞれの事業について意見交換してきました。
いよいよ、事業の目標は、今後の展開は?核心に迫っていきます。

今回がラストになります!

ここまでのお話

第1回 昆虫食業界での立ち位置

第2回 ターゲットとメディア展開

第3回 お蔵入り商品・かずきのコオロギカレー

タピオカの話が出ましたけど、それ、「昆虫食」とか「コオロギフード」とか、やばいじゃないですか。笑
一過性のブーム感がありますけど、まさに僕のことじゃないですか!笑
本気でそう思っています?かずきくんはそういうことも考えてるんでしょう?
最終的な到達点ってどう考えていますか?
目標っていうものがあると思いますけど。

【王様のブランチ登場時の様子】

追い風なのは確かです。
去年は「昆虫食」で東京駅の催事に出ましたし、すごい時代も来たなあって思っています。
チャンスや波にはしっかり乗らないといけないとは思っています。
けど、別に波が終わったからといって、昆虫食は今後も根強い人気であり続けると思います。
ブームに乗っかって、昆虫食の本質が見えないで乗っかっている人は消えていくだけです。
なので、イベントでも必ず、「面白く」「美味しく」というのは当然として、「正しく」理解を促すようなことを考えています。
「コオロギは高タンパクで低資質」とか「牛に比べて温室効果ガスの排出量が少ない」とか、それは確かにキャッチーでわかりやすいんですが、それは、わかりやすい一面に過ぎません。
いま、サポートしてくれる皆さんは、それなりに社会でしっかりとした立場にいる方ばかりです。大学も後押ししてくれる。
なので、僕自身、そういう看板を背後に背負っているという責任感があります。
応援してくれる人たちの看板に泥を塗ってはいけない。
やっていることは変化球で面白いけど、取り組んでいることは本物でありたいと思っています。なので、トレンドだから云々、というのは考えていないですね。
やっぱり最近は新規参入とか多いんですか??
タピオカの理論でいくと、今から昆虫食事業を始めても遅いと思っています。
勝手な僕の思い込みでしか話していないですけど、世の中移り変わりは早いですから流行った時点で終わりを見据えていかないとだめかなとは思っています。
僕は、一過性のブームだからやっているわけではないですから、今後も粛々と自分ができることを続けていきます。
ただ、ブームという点では、僕がクラウドファンディングを始めたタイミングがギリギリ最後の便かなって。いや、それでも遅かったかもしれない。
あのとき、すさまじいスピード感で調整して、クラウドファンディングを始めたんですけど、そのときにメンバーに言われたのが、「やるなら今しかないよ。コロナで世の中が止まっている今しかない。絶対に後からたくさん参入してくる。」でした。本当にそうなっていますね。
とはいえ、早い、遅いっていうのは、あくまでスタートダッシュだから、じっくりと筋を通して中長期的に取り組んでいるところが最後に残ってくると思っています。
クラウドファンディングのときに言われたのは、「達成できなかったらこの遊びは終わり」でした。
「おまえの本気を見せてみろ」ってことだったんだと思います。
目標額の達成のために何をしたらいいのか、そのために具体的にどんな行動をするのか、必死でした。
クラウドファンディングは、「All or Nothing」と「All in」と選べますけど、「All or Nothing
」一択だと思いました。
西川さんのされていたクラウドファンディングも「All or Nothing」でしたよね。
同じですね。
必要な資金の額や目標は決まっているわけですから、「惜しい」とかそういうのはないです。
できるかできないか、それだけですね。「All in」はキャンプファイヤー的には食いっぱぐれないからおいしい仕組みですけどね。笑
ただ、やるからには失敗はありえない。
クラウドファンディングをやるということは、「成功するイメージ」を見据えて行動するということだと思って臨みました。
全く同じこと言われましたね。笑
成功しないならやっても意味ないから時間の無駄だ、どうすれば成功するのかを綿密に考えた上でやる。くじ引きしているわけじゃないんだからって。笑
実は、それから、株式会社にして、とか、これ一本で生きていく、とか、最初はそんなことも考えてみたんですよね。
取材受けると、「起業したい」って言わせてくるように誘導されますけど。笑
まあ、実際に、確定申告してるので、起業しているといえばしてるんですけど。
メンバー達からは、「とりあえずがむしゃらに活動する1年は終わった。次は、就職なんかも見越しながら、1年かけて着地点を見出していけばいいんじゃない?」って言われています。
よく言われるのは「君はどうしたいの?」「君の成し遂げたい夢は何?」ってことを言われます。
そこには「昆虫食」っていうワードや「売り上げ」とか、そういう数字が全く出てこないのが不思議で、どうやら、もっと先を見据えて聞いているみたいです。
で、それについて、みんなで議論を重ねて、最後の決定は僕に委ねられる感じです。
もちろん、「夢」や「アイディア」ばっかり語って、具体的に形にできないのは口だけ人間だからそんなのは絶対になるなって言われています。笑
1人じゃできないことを何の見返りもなく陰ながらサポートしてくれる人生の先輩達の存在は本当に心強いです。
なんていうか、時代や先を読む力とか、直感とかセンス、人脈や課題を解決する能力とか、スピード感も含めて、本当にすごいなと思っています。笑

~最終目標はどこに??~

もしかしたら、私の意図するところに近いかもしれないですね。
僕らの事業内容って皆さんご存知の通りコーヒーです。
当然それが事業内容ですけど、例えば「おいしいコーヒーをたくさんの方に広めたい」みたいな経営理念とかにしてしまうといろいろ難しい点が発生したりすると思ってるんですね。
例えばセブンイレブンさんでもおいしいコーヒー飲めるじゃないですか。
今までインスタントコーヒー飲まれている方からしたら、挽き立てのコーヒーっておいしいなって感じると思います。
そうすると、おいしいコーヒーが広まってしまったら、「おいしいコーヒーを広めたい」が経営理念の事業は終了してしまいます。
「コンビニのコーヒーは認めない!僕たちのコーヒーがおいしいコーヒーだ!」と言って続けることもできるんですが、ちょっと強引な感じがしますね。
昆虫食の「普及・啓発」っていうのは、それに近いですね。
それを目標にしてしまうと、みんなの食卓にコオロギが並んでスーパーで普通に販売されるようになったら、事業は終了、失業です。笑
とはいえ、心配しなくてもそんな日はすぐには来ないですけど・・・笑
たしかにね。笑 毎日コオロギ食べるのは嫌だな・・・
コーヒーに関しては、輸入に頼らざるを得ないので、生産国でコロナ被害があり経済がストップして、もう日本にコーヒーが入ってこないんじゃないかみたいなこと言われていたんです。そうなったらコーヒー屋さんでコーヒー出せなくなるわけです。
その時に「おいしいコーヒーを広めたい」っていう理念の場合、その時点で目的を失って終わってしまうんじゃないかなって思ってるんですよ。
コロナの影響で日本からコーヒーがなくなりますっていう話になったら、お客さんにコーヒーなくなるみたいなのでちょっと紅茶屋さんなるかもしれませんみたいな話をさせていただいています。笑
僕は皆さんにコーヒーを提供する事はあくまで「手段」であり、僕の「目的」は別にあります。
目的の言語化がまだちゃんとまとまってないんですけど、出来ればずっとお世話になった天満に400坪位の大きなお店を作って運営していきたいと思っています。
その場でいろんなものを作って提供していきたい…とにかく大きなお店を作りたいっていう漠然とした考えがあります(笑)
この前、東京に行ったときに、「スターバックスリザーブロースタリー東京」に行ったんですけど、ああいうのってそれに近い感じですか??
そこまでいかなくても、例えば、コーヒー以外に、焼き立てのパンが食べられたり、素敵な雑貨が置いてあったり、サンワさんのイメージだと、緑であふれているような・・・

【スターバックスリザーブロースタリー東京@中目黒】



店内は吹き抜けの4階建て、世界に数店舗しかないスターバックスの旗艦店でまさにコーヒーのテーマパーク的存在。

そうそう。そんな感じです。
スタバまでいくとやりすぎですけど・・・夢があっていいですよね!笑
コーヒーがなくなったとしても別の手段でお客様と繋がれたらいいなぁとおもっています。
今後コーヒー事業以外も積極的に挑戦していきたい。
あるんでしょう?
そういう「昆虫食事業」の先を見据えた何かが。
きっと、それを意図して「君の夢は何?」っていう問いかけをされてるんだと思いますよ。
そうですね。
とりあえず、頑張って有名になるっていう目標を掲げています。
それなりに昆虫食の界隈では認知していただけるようになったかなって思っていますし、何より、大学が応援してくれるようになりました。
昆虫食の普及に取り組むっていうジャンルでは成果を上げることができました。第一段階としての目標は達成できたかなって思っています。
「昆虫食ビジネス」っていうと、コオロギ養殖とか、昆虫レストラン開業とか、そういうのがすぐに思い浮かぶと思うんですよ。
やろうと思ったらそれなりに形になるし話題にもなるんでしょうけど、そういうのは一切考えていないです。
養殖は卒業論文で取り扱ってみようかなと思っていますが、あくまで論文としての研究です。
コオロギ養殖については、徳島大学が何年もかけて研究を重ねてきたものがいま、注目を浴びています。
昆虫食レストランについては、東京にバラエティ寄りで展開する「米とサーカス」と、高級路線で食材の可能性を追求する「アントシカダ」という二大巨頭があります。
僕の出る幕なんてありませんし、よく知っていてリスペクトしているからこそ、勝負になんてならないです。笑
昆虫食のジャンルでも今まで誰も手を付けていなかったことをやってみたいですね。
あとは、昆虫食と全く関係ないですが、「・・・・・」とか「・・・・・」とか・・・。
(※リリース前・構想段階につき、非表示となっています)
僕にとっても、昆虫食そのものは目的ではありません。有名になってしっかりと発信することを昆虫食を通じて成し遂げたい真の目的は、「何でも批判や否定から入る社会」だったり、「固定観念や凝り固まった価値観」へ一石を投じ、社会全体を変えることです。
いいですね。
まったく昆虫食と関係ないのも素晴らしい。けど、根本ではつながっているんだと思いますよ。笑
私も似たことを考えています。コーヒー事業って本当に楽しいし魅力的な事業なので参入したい会社さんは多い。
けど、キャッシュポイントをずらしていく、売り上げを別にちゃんと儲けるっていうところを意識しないと、意地になって「僕はコーヒーだけでやります」って言っても、そのせいで競争に負けてしまってコーヒー事業が出来なくなる可能性がある。
今のところコーヒー事業以外全然できていないですけど。笑
何しようかな?何に力を入れていこうかな?と考えています。
僕自身、今はそんなに収益を目的としているわけでもなくて、何より昨年は、本当にいろんな経験ができたことには本当に感謝しています。
何がよかったって、人との出会いや経験のきっかけがたまたま「昆虫食」なんですが、漫然と学生生活を送る中では決して出会うことのできない人、自分が最低あと10年分以上は成長しないと会ってもらえないような人から学びを得ることができることですね。
田舎の大学生が東京駅のイベントで芸能人と一緒にマイクもってしゃべることなんて普通ありえないじゃないですか。笑
マイクを握っていた場所のちょうど真上が、近大水産研究所っていう近大マグロのお店っていうのもびっくりですけど。東京駅でイベントに出て、駅構内で自分の大学のマグロたべてるんだーって、笑
あと、本当か嘘かわからないですけど、大学の入試の待ち時間で僕のYouTube流れてたらしいです。笑
もう悪いことできないです。笑

【東京駅構内で開催された虫グルメフェス】

左から、スズメバチ大好き芸人・丸沢丸さん、現役看護師アイドル・荒川真衣さん、昆虫料理研究家・内山昭一さんにかずき。

やっぱり、こうして顔なじみの人が来てくださっていろんなお話ができるっていいですね。
来るたびに刺激的な話が聞けて、お客さんと一緒に成長しているという気がします。
僕の目指している、町のコーヒー屋さんって感じがします。
将来、大きなお店ができたとしても、地域に根ざして愛されるお店でありたいなと思いますね。
ところで、今日はこれからどこへ行くの?大きなリュック持ってるけど。
大阪の池田に「フェモラータオオモモブトハムシ」っていう美味しい昆虫がいるって聞いて、採りに行こうかなって思ってます!笑
(爆笑)
こうして、どんどん成長していく過程のまさに最初の段階のクラウドファンディングに関われたこと、私としてもうれしく思っています。
西川さんの経営哲学的なものがお店やスタッフさんに現れてるなって感じます。
ありがとうございます!また楽しい話のネタを持ってお邪魔します!!

日本一のカフェと自信を持ってお勧めするサンワコーヒーワークスさんは、JR大阪駅から1駅、JR天満駅から徒歩5分。

お近くの方や大阪方面へお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

(※コオロギコーヒーは店舗では提供していません)