昆虫食コラム

フェモラータオオモモブトハムシを採取してきました!!

かねてより行ってみたいと思っていた本格的な昆虫採取。
今回は、近畿大学の昆虫学研究室の香取郁夫准教授と、同研究室の「昆虫食2期生」と一緒に三重県へ向かいました。
※近畿大学では、昨年より昆虫生態学研究室で「昆虫食」を取り扱っており、今回参加するのがその第二期生となります。

今回採取するのは「フェモラータオオモモブトハムシ」です。

聞き慣れない名前、ということで、解説しましょう。

フェモラータオオモモブトハムシ


コウチュウ目ハムシ科の昆虫である。コガネハムシ亜科に分類される。
熱帯産の美しい甲虫として知られる種だが、2009年までに日本国内での定着が確認されており、拡大が懸念されている。
美しい金属光沢のある体色と、太い後脚の腿節が特徴。国内で見つかっているものは赤い個体ばかりである。
日本では、クズを主な食草としており、6-8月頃に成虫が発生する。クズの茎に産卵し、幼虫はクズの蔓にゴール(虫こぶ)を作り、ここで越冬する。
ゴール内には20mm程度の蛹室を作り、大きなゴールには数十個の個体が入っていることもある。成虫はゴール自体の白化した部分や、樹皮などを食べ、葉はあまり食べないという。なおゴールが発生してもクズは枯れないという。
環境省発表の「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」では「その他の総合対策外来種」に分類している。
2018年時点国内でクズ以外での定着報告はないが、海外では他の食害報告もあり、警戒される。
原産地はカンボジア、中国、インド、ジャワ島、ラオス、ミャンマー、スリランカ、タイ、ベトナムなど、東南アジアの熱帯地域に広く分布する。
日本では2006年以降に発見されている。2009年に三重県松阪市で県内の研究者らに発見され、その時点で既に定着していた可能性が高いことが報告された。
以降の継続調査で実際の越冬も確認され、その調査により死亡個体が少ないことも判明し、熱帯産にもかかわらず日本の冬に適応していると結論づけられている。
なお同市内では2006年にも3個体が見つかっていたことが後に判明し、実際はこの頃までに定着していた可能性が高いと考えられる。
移入経路はペットとして違法に輸入されたものと推測されている。本種は2005年ごろに各地のペット店で売られており、発見地近くの店に持ち込まれたものが逸出または故意に放された可能性がある。市内で見つかるのが赤い個体ばかりであることも、由来が少数の個体であることを示唆する。
食草はどこにでもあるクズであり、冬の低気温にも耐えうるため、関東以南ならばどこでも定着できると予想されている。
2010年には発見者らを含む有志が駆除作業を実施したが、手作業による駆除は困難と結論づけられている。直接捕食する天敵も知られていない。
こうした事情で徐々に分布を広げていくだろうと予見されているが、移動能力自体は低いという。しかし、その美しさのために生体が持ち出され、人為的に拡大する可能性も警戒されている。

「フェモラータオオモモブトハムシ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。2021年3月4日20時(日本時間)現在での最新版を取得。

今回採取するのは幼虫です。
なぜ、この虫を採りに来たかというと、「おいしいから」なんですが、昆虫食の観点より解説します。

この幼虫。4日ほど冷蔵庫で寝かすことで、「杏仁豆腐」のような風味になるのです。

おそらく、体内で酵素が分解されるのかと思いますが、その不思議な風味と美味しさは、「昆虫食界隈」では大変有名です。

例えば、僕も去年の夏にお邪魔したこちら、東京にある昆虫食レストラン「ANTCICADA」です。

フェモラータオオモモブトハムシの巣を器にあしらったデザートです。

ということで、早起きして遙々、三重県松阪市にやってきました。

この川沿いに「葛」の弦を探して、虫こぶを見つけていきます。

ありました。

少し拡大してみます。こぶがわかりやすい。

剪定ばさみでカットして・・・

中を開いてみると・・・いた!!!

葛は、生きている葛にあるこぶの中にいる可能性が高く、枯れている場合は昨年の巣の場合があります。
しかしながら、虫が入った後に枯れることもあるので、枯れている葛のこぶの中にいることもあります。

誰かがすでに採取した後なんじゃないかというくらい、見つけるのが難しかったのですが、先生の探索能力が非常に高い、笑

河川敷には、バッタやテントウムシもたくさん見かけられました。
なぜこんな真冬に、もしやここは結構暖かい環境が越冬しやすいのかも?
葛は全国どこにでも生えているのに、どうやら松阪をはじめ、限られたところにしかいないとか。

場所を変えて探索して、ある程度とれたところでタイムアップです。

熟成後の味は知っていますが、そのままだとどうなんでしょうか。
火であぶっていただいてみます。

これまでの経験では、昆虫の味は食性に大きく左右されます。
同じ幼虫でも、腐葉土を食べているカブトムシは不味い。生木を食べているカミキリムシは美味しい。

ということで、植物のみを食べているこのフェモラータオオモモブトハムシは、どちらかといえば美味しい部類に入るはず。

風味は・・・

ふむ・・・「ウッディ」という表現をさせていただきます(まるで香水ですが)
食感は「プチッ」という感じで、大きさもほどよく、食べやすい。そしてクリーミー。
昆虫独特の風味はするのですが、これは調理のしようによって、改善の余地がありそうです。

これだけ可能性のある食材であれば、外来種駆除にもインセンティブが働きますから、バッチリですね!

また後日、動画で紹介します!!!