ワークショップを踏まえて、パネルディスカッションを行いました。
会場爆笑
言語は覚えればいいが、「文化」はそうはいかない。その地域において、何世代において積み重ねられてきたものであり、乗り越えることは難しい。多文化共生とは、相手を説き伏せることではなく、多様な価値を尊重し、理解することだと思っています。
一般的な都市公園法・条例の枠組みでは、次のように記載されています。ここでは、奈良県のケースを挙げましょう。
奈良県立都市公園条例(抜粋・一部改)
(許可)
第三条 公園において次の各号に掲げる行為をしようとする者は、知事の許可を受けなければならない。許可の内容を変更しようとするときも、同様とする。
一行商その他これに類する行為をすること。
二 業として写真又は映画を撮影すること。
三競技会、集会、展示会、博覧会、興行その他これらに類する催しを行うこと。
2 知事は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、前項の許可をしないことができる。
一 公益を害するおそれがあるとき。
二 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第二号に規定する暴力団(以下「暴力団」という。)の活動を助長し、又はその運営に資することとなるとき。
三 公園の管理上支障があるとき。
3 知事は、第一項の許可に公園の管理のため必要な範囲内で条件を付することができる。
4~6 略
(禁止行為)
第四条 公園においては、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 公園施設を損傷し、又は汚損すること。
二 ごみその他の汚物又は廃物を捨て、又は放置すること。
三 竹木を伐採し、又は植物を採取すること。
四 土地の形質を変更すること。
五 鳥獣類、魚類を捕獲し、又は殺傷すること。
六 立入禁止区域に立ち入ること。
七 指定された場所以外の場所へ車馬を乗り入れ、又は止め置くこと。
八 指定された場所以外の場所で焚火をすること。
2 次の各号に掲げる行為については、前項の規定は、適用しない。
一~二 略
三 学術研究その他特別の理由によりあらかじめ知事の許可を受けた行為
(利用の禁止又は制限)
第五条 知事は、公園の損壊その他の理由によりその利用が危険であると認められる場合又は公園に関する工事のためやむを得ないと認められる場合においては、区域を定めて公園の利用を禁止し、又は制限することができる。
(他の自治体と標準的に比較するため、オリジナル部分を一部消しています。)
現実的な運用を考えると、私は次のように整理します。
1)どんぐり・落ち葉広いは、ごみと同様の扱いとして可能。
2)桜の枝を切ったりする行為は、公園の「植栽」を傷つける行為とみなし不可。
3)子供がシロツメクサで冠を作るのは、シロツメクサを植栽ではなく、雑草と見なすことで可能となります。
4)野鳥の捕獲や殺傷は条例を文言通り適用し、不可能です。無論、別途、鳥獣保護法で規制されているので、そちらでも規制されます。
5)魚類の捕獲は、条例に明記されているなら不可能、明記されていないなら、検討の余地はあります。池や川が危ないから立ち入り禁止区域と見なして不可能とする運用も合理性はあります。
6)両生類・爬虫類については、「獣」として読めないため、可能と考えられます。
7)イノシシ・ウサギ・鹿などに罠を仕掛けたり、狩猟することは問題外です。不可能でしょう。
8)キノコ狩りは、自然発生するものであり、管理されていないため、制限することは困難です。
9)柿の実、栗、タケノコ堀りは、「果実」であり、判断が分かれるところであるが、商用目的がNGであることは疑いの余地なしですね。何らかの手続きなしでは難しいでしょう。
話を戻して・・・。
内山先生の「セミ会」ってどんな感じでやってるんですか?
一同笑
公園がセミを管理しているわけではないので、自由に取っていいんじゃないかと思っていますので。
ところが、ここ2、3年、看板のでる公園があって、セミを採るのは許可制なのかな?と困惑しているんですよね。
条例に抵触するって言われるんですけど、都立公園条例を見てもどこにも書いていませんし。
確実に公園の昆虫を採ってはダメなんだという論拠に乏しい気がしてます。
今まで大田区の公園で行っていました。後は、多摩市の公園も寛容ですね。
多摩市は特に職員の方が中心に活性化のための色んなイベントを行っていまして、その一環としてセミ会もやっていますから、市が後援しています。多摩市ではそういう意味では、正々堂々とやらせていただいています。
が、内山先生のおっしゃる通り、そもそも、許可の申請の対象になるかどうかは、考え方次第です。だって、たまたまたくさんの人が集まるだけで、単なる昆虫採集なわけですから。確かに、いい大人が何十人も集まって必死でセミをとる光景は異様ですが・・・笑
遠足だって、子どもが100人いるからと言って、学校が公園に許可を求めることはありませんからね。そんなものいちいち審査できないです。
採って食べることによって昆虫食について考えてもらうきっかけにしたい。
ところで、僕、昆虫食のオンラインセミナーに参加したことがあって・・・
一同笑
公園っていう場所がみんなで使う場所ですよね。良識が問われますよね。
丸沢さん、蜂は公園とかで採ったりしているんでしたっけ?
虫取り網持っていると白い目で見られることはありますね。
蜂を採取することで、巣を刺激し、他の来園者を刺してしまうと非常にまずいですからね。
セミはオシッコ掛けられるくらいで済むんで大丈夫ですけど。まあ、丸沢さんレベルの人なら安心だからいいんですけど。笑
公園の柿をもぎ取って市場で売っていいわけないですよね。まさに条例に規定されている「行商これに類する行為」に該当するわけです。
長野県の人はさすがですね、駆除した幼虫を、信州セミの缶詰を作って売り出した経緯がありますね。
セミがうるさいとか、サクラにケムシがついているとか、蜂が怖いとか・・・
一同笑
衛生的にはどうなんでしょうね??
私もかずきくんとイベントを県立公園でしたときには、農薬つかってるかどうかとか、だいぶ気を遣った経緯はありますし、去年、内山先生に来てもらって公園で採ったジョロウグモをみんなに食べさせようとされたときは、これでもかってくらいカリカリに油で揚げましたね!笑
あと、昆虫は鮮度が命ですから、死んでいる虫は食べてはいけませんし、マメハンミョウに代表される一部の毒を持った昆虫も危険です。
乱獲・大量採取って何匹?食用はどうしてダメ?そもそも、条例に昆虫って書いてないのにどうして動植物なんて雑なくくりで運用できるの?とかね。
そもそも、こんな看板、客観的に違和感しかないでしょう?笑
なんでもかんでも看板立てたらいいってもんじゃないですよ。昨年の研修でボーネルンドさんに来てもらって、「日本の公園は魅力がない、つまらない」という話を聞きました。その原因が、あれもダメ、これもダメ、という看板にあります。私も公園管理の中で看板は最小限にという方針で余計なものをどんどん撤去してきました。
これはおそらく、近所の人に文句言われて場当たり的に看板作ってるのかと思いますね。
私は禁止しても許容してもどっちでもいいと思うんですよ。それぞれの自治体に考え方があってしかるべきですから。ただ、禁止するならそれなりに法令に基づいた論理的な理屈を考えるべきですよね。
あと、これは奈良県の条例のケースですが、「学術研究目的は禁止事項を適用しない」という特別ルールがあります。
NPOの場合も、しっかりした目的があります。もし、一般の人からの申し出を断りたいのであれば、これを適用し、厳格に選別してもいいと思いますね。
イベントとして行う場合、どう扱うかは自治体次第ですね。
けど、最終的には事前調整が整わなくても申請書を出しちゃうことはできますよ。出したら受理しないといけないって行政手続法に書いていますから。不許可なら、その理由を見て、気に入らなければ審査請求、そこでも気に入らなければ再審査請求すれば、最後は都庁なのか、国土交通省なのかで審査されることになります。
まあ、普通そこまでやらないですけど・・・苦笑
昆虫食の普及はまさに、そうした活動の流れでありますから。
どうしても許可したくないんであれば、「夜は暗いから危ないとか」「園路から外れた場所では危険」とか、別の理由をつけて不許可にすることもあるかもしれませんよね。
セミを採って食べることの是非については、私はたぶん判断しないと思いますね。遊具の安全と違って、公園の管理者として、「セミを安全に食用で食べられるように園内で管理する責任」ってないと思うんですよね。笑
今年はぜひ、申請をしてみたいですね。
一同爆笑
答えはないんですが、法令に基づいて、論理的に考える思考を身につけていただきたいなと思います。
ユーモアを交えつつ、公園の多様な利用の在り方を考える有意義なセッションでした。
参加者の皆さんも笑いながらも大変熱心に聞き入っていました。
さて、次回は、今回のトークセッションのまとめと、番外編をお届けします!!!